「タコの心身問題」

こんにちは。

Mónicaです。

 

 

 この本を読みました。

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

 

 

訳者さんのトークショーに行ったし

前からタコって模様がステキだし、

インスピレーション沸くなあと

興味があって読みました。

 

一言で言うと…

 

難しい!!!

 

執筆者のピーター・ゴドフリー=スミスさんは哲学家なので

ことばが複雑なんですよ。

それでもちゃんと読めば分かりやすく書いてあるんですけど

私の(今話題の)読解力の低さのせいで時間がかかってしまった。

 

ここからはネタバレも入ってきてしまうかもなので

要注意!です。

 

この本は題名の通りタコの話なのですが

タコに心があるのか?とかそういう単純な本ではないのです。

 

まず本書で最初の注意書きで

『英語でmindとは「頭脳」「記憶」「認識」といった

「頭脳」に結びつけられるような精神活動をひとくくりにした言葉』

と書かれています。

(長くなっちゃうのでちょっと要約しました)

 

じゃあ人間の感情である

喜怒哀楽

みたいなものは触れないのかなあと思ったのですが

 

タコは他の生き物と違って

食べ物じゃないものにも興味を示す事があるそうです。

なので研究者が巣穴に近付くと

腕(足?)を研究者に伸ばしてくる事があると。

 

後、人間の顔も区別が付くらしく

嫌いな人間には水鉄砲をしてくるらしい

この「嫌い」という表現も

人間でいう「嫌い」ではなく、

その人と一緒にいた時に

タコにとって嫌な事があった、とか

そういう事です。

 

そんなこの本の中でも私のが勉強になった所をいくつか。

 

まずひとつめ。

「意識」の話。

生き物には脳がありますね。

脳で考えて色々行動します。

人間だったら

「明日仕事だから早く寝なくちゃ」

「冷蔵庫に豚肉と野菜があるから野菜炒め作ろう」とか。

だけども、まばたきは?心臓は?

意識せずにしている事ですよね。

タコの場合

“腕にも多数のニューロンが集まっており、ある程度の自主的な動きが可能になっているのだ。”(136ページ8行目)

と書かれています。

なのでタコの頭でも

腕がどう動くか分からないという事があると想定されるそうです。

 

だけども人間もそうです。

本書にも書かれていますが

楽器を演奏する人は無意識に演奏しているはずです。

ピアノを演奏する人が

「次は右手の人差し指をレの鍵盤において…」

なんて考えないんです。

 

絵を描く場合もそうです。

えーっとここの細い部分は筆を細くしないといけないから

絵具が水をたくさん含むと筆が膨らんじゃうから

もっと筆を絵具雑巾でふいて…

なーんて頭でいちいち考えないんです。

 

逆に考えると頭がこんがらがっちゃって

できなくなっちゃう。

 

こうすればうまくいけるという

それぞれ自分たちのルーティーンがあるはずです。

 

ふたつめ。

ちょっと絵を描くものとして一番近い話。

タコは自分で体の色を変えますよね。

 

頭足類の皮膚はだいたい三層になっていて

その層を組み合わせて色を作り出しているらしい。

日本画は絵具同士を混ぜるということはあまりしなくて

画面上で重ねて色を作りだしている事がほとんどです。

なのでそれに近いんだなーと思いました。

 

しかし前から

どうやってあんなに瞬時に色を変えられるんだろう?

しかも周りに同化するためのものだから

かなり技術が高い画家じゃないとあんなに写実的に表現できないよ。

なんか腕に瞬時に色とか質感をキャッチして

擬態化する細胞があるのかな…

どうなってるんだろうと思っていたのですが…

 

“頭足類のほとんどの種は色の識別ができないらしいのだ”(146ページ2行目)

 

ええええええ!!!!!

 

やっぱり見てやってるんじゃないんだ!

じゃあどうやって?!

…というとまだ解明されてないらしい…。

 

まだまだ印象に残っている所はあるのですが

これ位にしたいと思います。

 

が、これだけは言わせてもらいたいです。

何でも人間基準で考えないでほしい。

 

今回読んだ本は哲学の本だと思うので

人間に照らし合わせて書いてあったからいいんですけど

 

例えば

人間に近い〇〇があるからこの生き物は知性が高い

とか。

私の大好きなマンガ

海獣の子供」で

デデという女性が出てきます。

その中でデデは生物たちの話になった時に

“今わたしたちのまわりにある全ての存在は、世界が生まれたときからきっかり同じだけの時間を経てここにある。みんな対等だと思うけどね。”

“自分だけが頂上にいると思うのはマチガイだ。”

と話します。

 

私もそう思います。

 

「タコの心身問題」でも

著者は最後に

“私たちはこれからも海を大切に守っていかなくてはならない。その理由はたくさんあるが、本書を読んできた読者には、その一つが何か、もうわかっているだろう。”(246ページ17行目)

とかいてあります。

 

デデのような考えを持てば

これからの地球についても考えられると思います。

 

海からすべての生き物は生まれたそうで。

そういう起源なども詳しく書かれています。

 

私にとってはかなり難しい本でしたが、

生物も哲学も興味がある!という方は是非。